目次
- 乾燥帯とは?
- 乾燥・半乾燥帯の自然
- 乾燥地の地形
- 砂漠の季節河川
- 砂漠はどこにできるか?
- 乾燥帯の動植物
- 乾燥地に分布する植物の特徴と機能
- 砂漠に生きる生物たちの知恵
- 半乾燥地の農業
- ステップはなぜ世界の穀倉地帯になるのか?
- 乾燥地帯の住民生活
乾燥・半乾燥気候とは?
乾燥帯には、ステップと砂漠があります。
サバナ気候より更に降水量が減ると、背丈の低い草原ステップになります。モンゴルなどがその典型例で、ステップの草原がモンゴルから東ヨーロッパまで帯状に続いています。
ステップより更に乾燥すると植生が貧弱な砂漠になりますアフリカのサハラ砂漠やナミブ砂漠、南米のアタカマ砂漠などが典型例です。
乾燥・半乾燥気候の自然
砂漠には、以下のタイプがあります。
- 一年中亜熱帯高圧帯の支配下にあって乾燥するサハラ砂漠やオーストラリアの砂漠
- 大山脈の風下側になって乾燥するパタゴニア
- 大陸内部に位置し、海からの水分供給の乏しい中央アジアのタクラマカン砂漠や中国北部のゴビ砂漠
- 大陸西岸の低緯度にあって寒流の影響で乾燥するアフリカ南部のナミブ砂漠やチリのアタカマ砂漠
砂漠のうち、岩石が分布する岩石砂漠や歴が分布する礫砂漠が全体の8割を占め、砂漠というとイメージしやすい砂砂漠は2割に過ぎません。砂漠には普段水は流れませんが一年のうち数日から数十日だけ水が流れ、その水の流れを洪水と呼ぶ季節河川があります。
ステップとは、砂漠の周辺に分布し、短い雨季がある地域に生育する丈の短い草原のことです。肥沃な黒色土や栗色土が分布します。
乾燥地の地形
上位に硬い水平な地層があり、その下に柔らかい層があると、下の柔らかい地層から浸食され、上部は浸食されにくい為、テーブル上の地形であるミサができ、更に浸食が進むと孤立丘のビュートとなります。
このような地形は日本では香川県の屋島や琴平山などで見られますが、多くありません。理由は日本では降水量が多く河川が発達しているので、河川が土砂を運搬して、堆積させて出来る堆積平野が発達しているためです。一方乾燥地では河川があまり発達しておらず、むしろ浸食による地形が典型的に見られます。
砂漠はどこにできるか?
地球上の待機の大循環から南北30度付近では下降気流が生じています。下降気流が吹き降りる場所は気温が上がって乾燥するため、降水量が少なくなります。上昇気流が発生するところでは降水量が高くなりますが、下降気流が発生する場所ではその逆と考えられます。水粒を含む空気も下降気流で気圧の高い低地に降りてくると、空気の温度が上がって水蒸気をたくさん含むことができ、水粒が消えてしまいます。つまり、雨が降りにくくなります。
北緯30度付近は通年にわたって亜熱帯高圧帯下であり、年中下降気流が卓越する場所である為、年中降水量の少ない砂漠気候となります。その為、世界の主な砂漠の多くは亜熱帯高圧帯に分布します。亜熱帯高圧帯に分布する砂漠はサハラ砂漠やアラビア半島のルブアリハーリー砂漠、ナミブ砂漠、アタカマ砂漠などです。
ナミブ砂漠やアタカマ砂漠は亜熱帯高圧帯の影響と寒流の影響もあります。通常は地面や海面に太陽の光が当たって熱せられ、地面や海面に接する空気は暖められて上昇気流となり雨を降らせます。しかし沿岸部を寒流が流れていると海水面に接する空気は冷やされ、むしろ上空の空気の方が温かい為、上昇気流が生じず雨が降りにくくなります。
ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠は海から遠く離れた内陸に位置し、海からの水蒸気が到達しにくい為、砂漠が出来ています。パタゴニア地方は卓越風のアンデス山脈の風下に位置して、風上側では上昇気流が発生して降水がありますが、風下側では乾燥した空気が降下するため砂漠が出来ています。
乾燥帯の動植物
乾燥地に分布する植物の特徴と機能
砂漠などの乾燥地域に生息する植物は、乾燥に耐えて生きるための様々な形態や機能を持っています。乾燥地ではサボテンなどの多肉植物が多く見られます。多肉植物は自らの母体に水分を保持して乾燥に耐えています。みずみずしい果実を持つ植物は地下水に達するまで数十メートルも値を伸ばして、地下水から水分を吸い上げて果実に蓄えています。根が水分を吸い上げる力は根の長さに関わらない為、どんなに長くても吸い上げが可能です。
また、乾燥地にある植物は葉がないことがよくあります。葉があるとそこから水分が蒸発するため、乾燥地では葉が小さくなって肉厚になっていきます。その究極の形態がトゲです。葉がなくても茎やトゲに葉緑素がある為、そこで光合成を行います。
乾燥地の植物は光合成の仕方にも特徴があります。光合成とは植物などの光合成色素を持つ生物が太陽からの光エネルギーを使って水と空気中の二酸化炭素から単価水物を合成する仕組みです。普通の植物は太陽エネルギーを効率よく取り入れるために、昼間に気孔(主に光合成、呼吸及び蒸散の為に外部と期待の交換を行う目的で葉の表皮に存在する小さな穴)を開いて二酸化炭素を取り組んで、炭水化物を合成します。しかし、乾燥地域で昼間に気孔を開くとそこから水分が蒸発してしまい、植物は枯れてしまう恐れがある為、その代わりに夜に気孔を開いて二酸化炭素を取り込み、昼間は気候を閉じいてしまう仕組みを持っています。この方法は太陽エネルギーのない夜に炭水化物を合成しなければならないので、通常の光合成と比べて著しく効率が悪くなってしまいます。
砂漠に生きる生物たちの知恵
砂漠のような乾燥地域は昼と夜、日向と日陰で気温差が大きいのです。砂漠にすむ動物たちも一日の温度差から身を守らなければなりません。砂漠にすむトカゲやヤモリなどは、日中にはエサを求めて砂漠の地表を動き回っていますが、日中の砂漠の地表温度が高い為、足を交互に地表から浮かしたり、素早く緯度したり、涼しい地中にもぐったりして暑さ対策をしています。逆に、冷える夜間には温かい地中の中で過ごしています。
半乾燥地の農業
半乾燥地に育つ農作物には綿花(ワタ)があります。綿花は、ワタの趣旨を包む白色の毛状繊維です。綿花は亜熱帯の降水量の少ない気候(年間600~1200mm)に適しており、無霜期間200日以上が必要です。綿花は綿毛を一つ一つ手で積む必要があり、かつては大変作業であり、黒人奴隷などが使用されていました。
ステップはなぜ世界の穀倉地帯になるのか?
半乾燥地域の典型的な植生は背の低い草原のステップです。ステップの主たる植生はイネ科植物ですが、イネ科植物は地下部の浅いところに膨大なひげ根を発達させ、その生物量(空間に存在する物質量で重量などで示す)は地上部より地下部の方が多くなります。ステップは雨量が少なく雨が降っても地表を濡らす程度ですが、地表付近の膨大なひげ根がその地表付近の水分を吸い上げるのに適しています。
草原の地上部は秋に枯れて堆積します。地上部の3分の1ほどの根は冬に枯れて腐り、これらのリターと呼ばれる植物遺体はミミズなどの土壌動物の働きで翌年の春から夏に分解され腐食となります。ステップ地方では夏の水不足と秋から冬の寒さが、腐食を更に分解させるカビやバクテリアの活動を不活発にさせ、そのまま腐食が厚く堆積します。この腐食の層は1m以上の厚さになることもあり、腐食は黒くまた有機物である為、カリウムやリンなどの栄養塩類が富みます。その為、ステップ地帯は土が黒い「国土地帯」と呼ばれ、小麦や大麦、トウモロコシなどの世界の穀倉地帯になっています。
乾燥地帯の住民生活
乾燥地帯で暮らしている人々には、アラブの遊牧民族ベドウィンやベルベル人系の遊牧民トゥアレグ族、トルコ系イスラーム教徒のウイグル族、モンゴルと中国の内モンゴル自治区に住む遊牧民モンゴル系民族、南アフリカ共和国からナミビアの海岸地帯と高原地帯の乾燥地に住む放畜民コイコイ人、カラハリ砂漠にすむ狩猟採集民サンなどがいます。
乾燥地では農耕が出来ない為、乾燥に強いラクダやヤギの遊牧や放牧を行うのが主な生業となっている場合が多くあります。