地学

北海道で確認できる寒冷地に特有の地形!

目次

  • 寒冷地に特有の地形
  • 表土の凍結と融解の繰り返しで形成される地表の模様
  • 斜面の向きにより地形が変わる
  • 日本の寒冷地・北海道

寒冷地に特有の地形

寒冷地では、冬に土壌が凍結して土壌中の水分が凍って氷の層ができ、それによって地表面が持ち上げられる「凍上現象」が発生します。このため道路が凸凹になったり、地下の水道管が壊れたり、家の下だけ土壌の氷が解けて基礎が傾いたりすることがあります。雪はむしろ保温の役割をする為、凍上は雪が厚く積もる場合は起こりにくく、積雪が少なく冬の気温が非常に低い地方で問題となります。低温の環境が続くと土壌の深くまで凍結し、コンクリートのように固くなります。このような状態では植物の生育は難しく、地表は裸地が広がります。

表土の凍結と融解の繰り返しで形成される地表の模様

また、土壌の凍結が進むと、土の収縮で地表に凍結割れ目と呼ばれるひび割れができ、平面的には割れ目が多角形の形を示す場合があります。夏の間に地表の部分の氷が解けて水と表土が混じり、地表に勾配があると低い方へ流動し、割れ目の間を満たします。その結果、多角形の形に土砂が集まって地表に網目模様が出来ることがあります。北海道の大雪山の高山帯ではこのような網目模様の他磯が集まって作られた縞模様や、小さな段階上の地形などもたくさん見られます。いずれも、このような表土の凍結と融解の繰り返しによって形成されたものです。砂礫が多角形や縞模様を示すため、構造土と呼ばれます。規模は小さいですが、このような現象は周氷河現象とよばれます。

斜面の向きにより地形が変わる

また、斜面の向きが北向きの場合と南向きの場合を比べると、南向き斜面の方が日射で凍土の融解が進みやすくなります。このため、南向き斜面では、北向き斜面に比べて凍結融解作用が強く働いて、なだらかな斜面になると考えられます。また、大雪山の山頂部は、日射を受けやすい南向きがなだらかになった非対称な谷があります。大雪山の山頂部には、このような南向きがなだらかになった非対称な谷が見られます。

日本の寒冷地・北海道

日本では、北海道が本州以南の地域とは異なる気候の特性を反映しており、特有の地形が発達しています。北海道の中央にある大雪山では、先ほども述べた表土の凍結と融解の繰り返しによって形成された網目模様や縞模様の地表があります。大雪山山頂部では、夏の間地表面近くは氷が解けますが、現在も地下の部分が一年中凍結したままの「永久凍土」があります。永久凍土は氷期に形成され、現在も溶けずに残っているものです。北海道では他にも氷期に土壌の割れ目に氷が発達した後を示す「化石氷楔」や、斜面の凍結融解で火山灰層などが乱れた跡である「インボリューション」がいくつか見られます。

土壌以外でも、岩の割れ目などにたまった水が凍ると堆積が約1割増える為、割れ目を広げてゆき、岩石を物理的に破壊することもあります。地表近くの水分の凍結と融解が繰り返されることによって岩石が砕かれ、斜面下方へ移動して斜面が次第になだらかになると考えられます。北海道北端の宗谷岬周辺に広がる丘陵地帯も、このような作用でなだらかになった「周氷河性波状地」ではないかと考えられています。