地学

海水準の変化!日本列島の地形形成に最も影響を与えた外的営力とは?

目次

  • 海水準の変化
  • 第四紀前半の氷床
  • 気候のジャンプ
  • 気候のジャンプの影響
  • 海水準の変化による日本への影響
  • 海水準の変化による地形形成
  • 海水準が低下したことによる地形形成
  • 海水準が上昇したことによる地形形成

海水準の変化

地質時代で260万年前から現在にいたる時代を第四紀と呼びます。日本列島の地形形成に最も影響を与えた外的営力は、この第四紀における海水準の変化です。この海水準の変化は、北半球の大陸上に形成された大陸氷床の拡大・縮小が原因で引きおこさえたもので、氷河性海水準変動と呼ばれています。

第四紀前半の氷床

地球史の中で最も新しい地質時代である第四紀は、温暖だった中生代以降、地球が徐々に寒冷化していく中で、北半球に氷床が出来始めた時期という特徴があります。氷床は陸地に降った雪が夏に溶けずに万年雪になり、それが毎年どんどん積もって氷になったものです。第四紀の前半は、北半球の大陸氷床は小規模で、およそ4万年程度の周期で解けたり発達したりを繰り返していました。

気候のジャンプ

ところが100万年前頃に「気候のジャンプ」と呼ばれるエポックがあり、それ以降、氷床の発達は大規模になりました。氷床の拡大・縮小の周期は約10万年に延び、寒暖の振り幅も大きくなりました。明瞭な氷期・関氷期のサイクルが出来上がったのです。気候のジャンプの原因は上昇を続けるヒマラヤ山脈にあったと考えられています。ヒマラヤ山脈の高度があるとき閾値を超え、北半球の待機の大循環に影響を与えるようになりました。

気候のジャンプの影響

その結果、特定の地域に大規模な氷床が形成されるようになりました。氷期には、海から蒸発した水蒸気が大陸に雪として積もり、その一部は夏の間も溶けずに大陸上に残り、万年雪を経て氷床へ発達していきます。蒸発した水が海に戻ってこないので海水の量が徐々に減り、海水準は低下していきます。今から2万年前に7万年前から始まった最終氷期の最盛期を迎えました。この時、北米大陸や北ヨーロッパには大規模な氷床が発達し、2000メートル以上の厚さでこれらの地域を覆いました。その結果、世界中の海水準は現在より120メートルほども低くなったと考えられています。海水準が下がって海岸線が沖に後退したため、今まで水を被っていた沿岸地域は干上がり陸地が広がることになりました。

海水準の変化による日本への影響

日本列島では、海水準の変化によって東京湾や大阪湾、瀬戸内海などは干上がって陸地になりました。東京湾では干上がった元の改定を利根川の延長である古東京川が流れ、新しい沿岸地域では、低下した海面に高さを合わせて河川が深い谷を彫りこみました。日本列島の周囲には、低下した海面に合わせて広い海岸平野が形成されました。この海岸平野は海水準が高くなった現在では海面下に没し、大陸棚と呼ばれる推進100メートルほどの海底の平坦地になっています。

海水準の変化による地形形成

海水準が低下したことによる地形形成

氷期には温暖地域でも気温が低下しました。最盛期には、現在より平均気温が5度ほど低下し、東京付近は現在の札幌と同じような気温になりました。気温の低下は植生に影響し、高山で樹木が生育できなくなる森林限界の高さも現在より1000メートルほど低下しました。植生は根を張って土地の浸食を防ぎますが、植生がなくなると岩盤がむき出しになり、浸食によって山が崩れやすくなります。そのため氷期には河川の上流部で崩壊が多くなり、礫が大量につくられました。しかし、氷期には夏のモンスーン(季節風)も弱まるので雨量が減り、河川が物質を下流へ運ぶ力も低下します。そのため、礫は下流にはあまり運ばれず、上流域では谷を埋めて川床の高度を上げ、平野の出口では大きな扇状地を作ります。下流域では海水準の低下で川底が深く刻まれているので、結果として氷期の河川の勾配は、間氷期の勾配よりずっと急勾配になります。約1万年前に氷期が終わると大陸の氷床は解け出し、海水準は急速に上昇しました。氷を作るのは時間がかかりますが解けるのが速いのは大陸氷床も一緒です。

海水準が上昇したことによる地形形成

急速な海面上昇によって氷期に作られた大きな谷の中には、洪水などで上流から運ばれた新しい地層が厚く堆積し、平野が作られました。気温は上昇し、モンスーンによる降水も増加するので、谷の上流部では、河川が氷期に埋めた厚い堆積物を削り峡谷を作るようになります。下流域では、沖積層が谷を埋めているので、川床勾配は緩やかになります。川床勾配は氷期と間氷期でシーソーのように変化し、これによって色々な段丘が形成されます。