地理学

熱帯とは?熱帯雨林気候とサバナ気候の気候・自然・農業・住民生活について

目次

  • 熱帯気候とは?
  • 熱帯雨林気候とは?
  • サバナ気候とは?
  • 熱帯雨林とサバンナの境界
  • 熱帯の自然
  • 熱帯雨林の植生
  • サバナ気候の植生
  • 熱帯の野生動物
  • 熱帯の農業
  • 熱帯の住民生活

熱帯気候地域とは?

熱帯気候地域には熱帯雨林気候とサバナ気候があります。

熱帯雨林気候とは?

熱帯雨林気候とは、一年中雨が降って高温の為、樹高が50m以上になる常緑広葉樹主体の熱帯雨林が分布する地域で、アマゾン川流域やインドネシア、アフリカのコンゴ川流域など、赤道周辺で年中高温多雨の地域に広がっています。

熱帯雨林気候は、年間降水量が2000mm以上あり、気温の年較差は少なく日較差が大きく、午後からはスコールと呼ばれる激しい雨が降ります。

サバナ気候とは?

サバナ気候とは、赤道から少し南北に離れた地域で、夏は雨季、冬は乾季となる気候です。アフリカや南米に広く分布しています。

サバンナと呼ばれる疎林と背丈の高い草原が広がっています。

熱帯雨林とサバンナの境界

熱帯雨林とサバンナの境界はどのようになっているのでしょうか?

アフリカの南半球には熱帯雨林とサバンナの間にミオンボ林と呼ばれる亜熱帯疎林が分布しています。

熱帯雨林は樹木が密集していて、樹幹が接して暗い森なのに対し、亜熱帯疎林は樹木が密集しておらず樹幹が接していない為、地上から空が見える明るい森林です。樹高は10~20mで樹木の樹幹幅が狭く、細長い樹幹をもちます。

南半球にあって北半球にない理由は、アフリカの赤道以北は急激に降水量が這って行くのに対し、赤道以南は徐々に降水量がへっていく為、ミオンボ林が分布できたと考えられています。

熱帯の自然

熱帯雨林気候の植生

熱帯雨林気候では一年中雨が降り、気温が高いという特徴の為、常緑広葉樹の森林が広がります。一年中葉をつけていれば一年を通して光合成が行えるため、樹木の成長が良く、樹高が50m以上にもなります。また、一年中葉をつけていて葉から水分が蒸発しても、一年中雨が降る為、枯れることがありません。

サバナ気候の植生

サバナ気候の地域は、熱帯雨林気候に比べて樹高は低くなり、傘のような樹冠をしたアカシアなどの樹木が背丈の高い草原の中にまばらに生えています。または、バオバブのように気の中がスポンジ状になっていてそこに水を貯える為に樹幹が太い樹木もあります。樹木の根の形は、地表から浅い部分に横に根が広がっています。

この根の形は雨が降って地表がぬれた程度でも広い範囲から水分を吸収するのに適しています。乾季の間は雨がほとんど降らない為、樹木が葉をつけていると葉から水分が蒸発して木が枯れてしまいます。その為、樹木は乾季に葉を落とす落葉広葉樹です。

熱帯の野生動物

熱帯には特徴的な野生動物が多く生息しています。

ゴリラ、チンパンジー、ボノボ、オランウータンの大型類人猿はすべて熱帯雨林に生息しています。ライオンやキリン、象、カバなどはサバンナに生息しています。過去の気候変動で熱帯雨林の分布も変遷し、それが人類の発祥につながったという説もあります。

シロアリ塚

サバンナの草原や熱帯雨林の樹木の下にはシロアリ塚が見られることが多くあります。シロアリはありの仲間ではなくゴキブリに近い仲間です。

シロアリ塚はシロアリの排泄物と土を唾液で混ぜて積み上げていったもので大きなものは直径30m、高さ10mにもなります。1つのシロアリ塚の中には数百万匹のシロアリが棲み、集団の中には卵を産む女王と卵を産まず働く働きアリが含まれます。塚の内部には多数の通気口があけられ、昼は涼しく夜は温められる自然の空調機能を備えています。

シロアリ塚には気が這えている場合が多くあるのは、木の下にシロアリ塚作られるパターンとシロアリ塚の上に木が生えてくるパターンがあります。

乾燥している地域では、分布するほとんどのシロアリ塚に木が生えています。木は比較的大きく木の幹はシロアリ塚に埋まっています。

一方、比較的湿潤な地域では、小さな森が半径数十メートルもある大きなシロアリ塚の上に出来ています。シロアリ塚の土は周囲に比べて養分や水分条件が良く植物の生息に適していた李、シロアリ塚が洪水や野火の時の植物の避難場所になることが関係していると考えられます。

シロアリ塚の森は周辺の2倍以上の密度で樹木が生息し、3倍以上の多様な植物が分布します。シロアリ塚の森には果実をつける樹種が多く、菜食や営巣の為に乙津れる動物によって種子が運ばれ、糞や尿が投入されることで豊かな植生が形成されていると考えられます。

熱帯の農業

熱帯地域で作られる農作物は栽培条件で気温が高いところで育つ農作物になります。

年間降水量が2000mm以上の場所では、年平均気温が高い方から天然ゴム、カカオ豆、コーヒー豆となります。コーヒー豆は雨季と乾季のある気候、つまりサバナ気候に適しています。

アフリカでは低地の熱帯雨林気候ではカカオ豆、エチオピア高原やキリマンジャロ、ケニア山の山麓の高原ではコーヒー豆がよく作られています。

年間降水量が1500~2000mmになるとジュートやお茶が作られ、お茶は熱帯では比較的涼しい高原で作られます。

降水量が1000~1500mmのサバナ気候ではサトウキビが作られます。

耕作形態

熱帯地域では焼き畑の移動耕作が見られます。焼き畑では山林原野を焼いて得る草木灰を肥料とし、作付けによる地力減退の為数年で移動します。

熱帯雨林ではキャッサバ、タロイモ、ヤムイモが栽培され、サバンナでは穀物が栽培されています。

アフリカではキャッサバは広い地域で生産され、干ばつにも強い為、干ばつ時の食料確保のために重要でした。しかし近年、貨幣経済浸透と共に現金獲得の為に商品作物(たばこ、コーヒーなど)に転作する場合が多くあります。しかし、たばこやコーヒーなどは干ばつに弱い為収入もなくなり、気候変動時に深刻な食糧不足をもたらします。

また、熱帯地域では粗放的定住農業が見られます。

粗放的農業とは、単位面積当たりの土地に対する投下資本、投下労働力が少なく、土地の生産性や利用率が低い農業のことを言います。

粗放的定住農業は粗放的自給的農業に一部商品生産(カカオなど)が加わる農業で、アフリカではよく見られます。急斜面を利用して畑作を行っていることが多く、土壌浸食を避けるため、等高線に沿って工作をする等高線耕作が行われ、段階上に拘置を設けるテラス耕作がよく見られます。トウモロコシやソルガム、ミレットなどが作られ、モンスーンアジアでは夏の高温とモンスーンによる多雨を利用して、沖積平野を中心に稲作が行われます。

東南アジアや南アジアでは、牛に鍬を引かせて耕す牛耕など技術水準が低く、天水田(天水だけに依存している水田)が多く、全体的に単位面積当たりの収量である土地生産性は低い為、1人当たりの収量である労働生産性も低くなります。

熱帯の住民生活

狩猟採集民はすべての大陸に分布し、熱帯、温帯、寒帯と異なった環境のもと、異なった生活様式をしています。

狩猟採集民の特徴は以下の通りです。

  1. 少数の集団
  2. 広い地域に展開して居住する
  3. 土地所有の観念がない(共同利用)。縄張り意識はある。
  4. 主食がない。(多様な食物)
  5. 食物の保存は一般的でない。
  6. 食物の公平な分配と「共食」。平等主義。
  7. 男女の役割分担。(原則、男は狩猟、女は育児と採集)
  8. リーダーはいるが、原則として身分・階級制、貧富の差はない。
  9. 正確な自然の知識と畏怖の念に基づくアニミズム(自然信仰)
  10. 散発的暴力行為・殺人はあるが、戦争はない。

熱帯では乾季と雨季の差はあるものの、年間を通して多様な食糧のうちのどれかが獲得できるために、特に食料を貯蔵することはありません。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。