地学

リアス海岸の形成や特徴について!

目次

  • 地形を作る作用
  • リアス海岸の形成
  • リアス海岸の特徴
  • リアス海岸の条件
  • リアス海岸が保存されてきた理由

地形を作る作用

地形を作る作用は、プレートの沈み込みなどの地殻変動だけではありません。海水面の変化も地形にとって重要な作用となります。内的営力・外的営力について興味がある方は以下の記事を読んでみて下さい。

リアス海岸の形成

海水面の高さが上下することによって、相対的に海からの陸地の高さも変わるからです。十万年ごとに繰り返す氷期と間氷期によって、海水面の高さ(海水準)は大きく変化してきました。氷期には大陸氷床や山岳氷河が大きく成長し、海水準は下がりますが、間氷期にはその氷が解けて海水準は上昇します。宮城県牡鹿半島から青森県八戸市までの三陸海岸に多く見られるリアス海岸も海水準変化によって作られた地形のひとつです。2万年前の最終氷期最盛期には、海水面は現在よりも120メートルほど下にありました。河川によって土地が削られ、沿岸部には急な谷ができました。その後、氷期が終わる1万5000万年前から徐々に海水面が上がり、谷に海が入り込んできて徐々にリアス海岸となったのです。

リアス海岸の特徴

リアスという名前はスペイン北西部ガリシア地方の「リアスバハス海岸」に由来します。リアとは、スペイン語で入り江を意味し、深い入り江が連続する地形を指してリアス海岸と言います。リアス海岸の入り江の内部では波が穏やかな為、カキや海苔、真珠などの養殖に利用されます。海からの波が湾内に到達するまでに弱まるからです。また、山からの養分を含んだ川がほとんど人の居住地域を経由することなく流れ込むので、プランクトンが育つ良い漁場です。一方、津波の被害を拡大するという面もあります。津波が押し寄せると、狭い湾内で水平方向に行き場を失った波は代わりに上方向に伸び、より大きな津波を生み出します。

リアス海岸の条件

リアス海岸が出来るには、2つの条件があります。一つ目は、沿岸部が水で

削れにくい硬い岩石で出来ていることです。この地形ができる為には狭くて急な谷が必要ですが、岩石が軟らかければ簡単に崩れて、なだらかな広い谷ができてしまいます。また、海面に接している海岸部は削られてしまうので、入り組んだ入り江ができても、すぐになくなってしまうでしょう。

2つ目の条件は、川の流域が狭いことです。川は、山から土砂を運び下流に溜めていく働きをします。流域が広いほど運ぶ土砂の量は大きくなり、埋め立てる力が大きくなります。したがって、川の流域が狭いほうが、下流域は埋め立てられず、急な谷の地形が長い間残されるわけです。

リアス海岸が保存されてきた理由

こうして形成された三陸のリアス海岸はその姿が7000年前からほとんど変化せずに保存されてきました。その理由は、当時から海水面の高さが変化していないことも大きな要因だと考えられています。では、もし海面が今より数十メートルほど下がったらどうなるでしょう。海面が下がるということは入り江から海が後退することになり、溺れ谷ではなくなります。リアス海岸は消滅するでしょう。逆に海面が今より上昇すると、海岸線は西に進出しますが、入り江が急峻なためリアス海岸はそのまま残ると考えられます。

リアス海岸は、現在の温暖な時代における海面上昇が作った地形であり、しかもいずれ砂州が形成され埋め立てられるまでの一時的な姿に過ぎません。絶えず地形が変化する何万年物時間の中で私たちは高海画期のスナップショットを見ているといえるかもしれません。